自動車事故を起こしても、翌年の保険料が上がらないケース

「事故起こした…、来年の保険料いくら上がるかな…」

自動車保険、高くなりましたよねぇ…。
なんだか毎年上がっているような気がします。
保険会社や保険代理店の説明によると、損害率が増えただとか、車両修理費の高額化などといわれますが、んなモン事故を起こしてない人からしたら「知るかあ!」ってなモンですよ。
(損害率とは、簡単にいえば収入保険料と支払保険金の比率です)

まあ保険を使ってない人でも保険料が上がるのにも一応ちゃんとした理由があるんですが、それはまた別の機会に。
今回は、事故を起こしても翌年の保険料に影響がないケースもある!?」というお話です。

もくじ
ケース1 自賠責保険のみを使った場合
ケース2 自分のケガのみに保険を使った場合
ケース3 特約部分のみを使用した場合
ケース4 単純に相手が100%悪い場合

ケース1 自賠責保険のみを使った場合

自動車保険といわれるものは、ほとんどの場合がいわゆる「任意保険」を指します。
それに対して自賠責保険は「強制保険」です。

自賠責保険は「対人賠償」しか補償しません。
補償される額(保険金額)は、

  • 後遺障害 4,000万円
  • 死亡 3,000万円
  • 傷害 120万円

となっております。

そう、自動車事故の相手が歩行者で、ちょっと引っかけただけで、ケガの治療も割とすぐ終わったような例で、自賠責保険の傷害部分である120万円まで使わなかった場合は、任意保険には傷は付きません。
たとえ保険会社に示談代行をしてもらい、相手方への保険金の支払いまでやってもらったとしても、対人賠償の金額が120万円以下であれば、いわば保険を使わなかったことになります。

しかし少し注意しなければならないのは、相手の治療費は3割負担ではなく10割負担で計算されるということです。
そして治療費だけではなく、相手への慰謝料、通院の交通費、入院の雑費、仕事を休んだ場合の休業補償も含めて120万円以下です。

こう書くと、120万以下で済ますのは結構ハードルが高そうに見えるかも知れませんが、私が保険営業をやってたときに、このように任意保険を使わずに済んだ例はポツポツありました。

なおこのような例で相手の衣服、眼鏡や携行品の損害を請求された場合、それらは対物賠償での話になります。
自賠責保険は対人賠償のみを補償するものですので、これらは任意保険での支払いとなります。
なのでもし保険を使うと、翌年の保険料は普通に上がってしまいます。
保険料の上がり幅と相手の対物の損害額を比べて、相手の損害額が大したことがなければ、その部分だけ自腹で払った方が得なケースもあります。

ケース2 自分のケガのみに保険を使った場合

任意保険を契約していれば、ほとんどの契約に「人身傷害」または「搭乗者傷害」が付いてます。
これらは自分側のケガの補償をするものですが、実はこれら「のみ」使った場合は、翌年の保険料には全く影響がありません。

考えられるケースとしては、自損事故を起こしてケガをした場合で、車両保険に入ってない or 車両保険を使わなかった場合ですね。

ちなみにこの場合の事故を「ノーカウント事故」といいます。
読んで字の如く、保険の割引等級上、事故があったとカウントしない事故のことです。
他に「3等級ダウン事故」と「1等級ダウン事故(昔の等級すえおき事故)」があります。

車両保険の「盗難」「水害」「飛び石」「いたずら被害」などは1等級ダウン事故です。
まあほとんどの事故は対物賠償が絡みますから、その場合は3等級ダウン事故となります。

ケース3 特約部分のみを使用した場合

自動車保険の代表的な補償である「対人」「対物」「車両」「傷害」以外の、特約部分のみを使用した場合も、ノーカウント事故となるケースがあります。
例えば具体的には、「弁護士費用特約」「ファミリーバイク特約」のみを使った場合が該当します。
特にファミリーバイク特約は良く考えれば当然ですね。クルマ関係ないですし。

そしてちょっとレアなケースですが、「自分に過失がなく、完全なもらい事故で、自分の車両保険を使った場合」もノーカウント事故になる場合があります。
このケースが成り立つために必要な特約を「車両無過失事故に関する特約」といいます。

正に上記のケース「自分は無過失だけど車両保険を使った場合」に、ノーカウント事故とする特約です。

例えば駐停車中にぶつけられたけど、相手がごねまくって修理代を全然払ってくれないケースなどに使える特約です。
そして私が保険営業時代に「家族間での事故」にこの特約を使った例を経験しました。

というのも、家族間では対人・対物賠償って使えないんです。
ぶつけた方はもちろん、ぶつけられた方も、車両保険で直すしかありません。

ぶつけた方はどうしようもありませんでしたが、ぶつけられた方にこの「車両無過失特約」を使えないか保険会社に問い合わせたところ、使えるとの答えが!
良かった良かった。
特にこの例は、嫁と姑の間で起きたものだったので本当に良かった(^_^;

ケース4 単純に相手が100%悪い場合

過失割合が100:0の、いわゆる100ゼロ事故で、相手が100%悪い事故も、もちろんこっちの保険に傷は付きません。
相手がこっち側の損害を全て賠償して終わりです。

しかし、相手が100%悪いのは明らかでも、ごねてなかなかお金を払ってくれなかったりすることがあります。
ここで上記「ケース3 特約部分のみを使用した場合」でも出ました、弁護士費用特約の出番です!

これを使って弁護士に依頼すれば、弁護士費用はもちろん、話がまとまって相手からお金が支払われて、保険に傷も付かないというハッピーな結果に!
ケース3と4の合わせ技ですね。

ちなみに100ゼロ事故の代表的な例を挙げますと、

  1. 駐停車中にぶつけられた(信号待ち中の追突など)
  2. 信号のある交差点で、相手が赤信号無視でぶつけられた
  3. センターラインのある道路で、相手がセンターラインをオーバーしてきてぶつけられた

こんなところですね。
2chを含めそこかしこで「クルマが動いてたら絶対に100ゼロにはならない(キリッ」ってのをいまだに見聞きしますが、上の例の2と3は普通に動いてますしね。

さらに余談ですが、こっちがクルマで相手が歩行者や自転車の場合、「相手は交通弱者だから絶対クルマの方が悪いことになる」ってのも迷信、都市伝説です。
さすがに歩行者・自転車が100%悪くなるのは経験ないですが、極端な例で「自転車が9割の過失を取られた事故」というのは実際に経験しました。

まあ夜間の事故で、自転車側が無灯火+信号無視+飲酒のフルコンボだったので、確かにレアケースではありますけどね。


今の「事故あり係数」の制度が導入される前は、例えば20等級で事故を起こして保険を使っても、翌年の保険料は1万円アップくらいに抑えられてたんですが、今は平気で5万円くらい上げてきますからね。
事故なしで16等級から上がってきた17等級と、20等級で事故起こして下がってきた17等級。
同じ17等級でも背景が違うので、差を付けたいのはまだわかります。
実際に統計上の事故率にも差があるそうですし。
でもそこまで差を付けなくても…と思っちゃいますよね。

ただでさえ事故起こしてへこんでるところに「来年は5万円アップ!更新よろしくね☆」なんて平気でいいますからね。
そりゃ通販型自動車保険が盛り上がるわけですわ(安いから)。



おもしろかったよ!と思っていただけたらクリックしてみてください。
私が喜びます。↓