スムーズに会社を辞めるための基本は、相手の立場に立つこと!?「退職願」と「退職届」の違いは?

2017年1月13日

「もう、一刻も早く会社を辞めたい…」

そんな風に考えたことのある人、結構多いと思うんです。
私も今まで何度もそう考えたことがあります。

そのうち何度かは実際に実行してるわけですが、その経験として「どうせ辞めたらこの職場の人達とは無関係になるんだから、多少乱暴なやり方になっても『辞めます』で押し通せばいいだろう。いなくなるんだから関係ない。」という風に考えて実行するのはやめた方がいいです。

ネット上の様々な意見の中には「辞める2週間前に意思を伝えさえすれば、なんと言われようと2週間経ったら会社に行かなくてもいい。労働基準法上そうなってる。」なんてものも見られます。
しかしこれはちょっと乱暴すぎます。

やはりできれば円満退職をするのが望ましいです。
ではなぜ円満退職を目指さなくてはならないのか?

会社に迷惑が掛かるから?
それもありますが、会社を辞めようとしてる人にそんなこといったって、「知るかボケ!」でお終いです。
それよりも、あなた自身の損になるからです。

今後同じ業界に転職する場合には、あなたの悪評が広まってたり、そうでなくとも将来的になんらかの取引をするかもしれない相手にあなたの悪い噂が聞こえ、信用を失う可能性もあります。
会社を辞めたいと考えている人は、「今」しか考えられなくなっていることが多いですが、未来には何があるかわかりません。

それに正直、円満退職はそれほど難しいものではありません。
しっかり手順を追っていけば、誰でも簡単にできます。
これらの手順のベースにあるものは、嫌かもしれませんが「相手の立場に立つこと」です。
実はこれ、とーっても重要なんです。

まず、辞める時期を設定する

まず退職の意思を伝える前に、いつ辞めるのかをあなたの中で決定しておく必要があります。

会社の就業規定に「◯ヶ月前までに~」と決められているのであればそれに従い、それがない、または確認できない場合は1ヶ月半~3ヶ月くらい先にしましょう。
もし1ヶ月半後と決めて、話の中でそれを伝えた際に「就業規則だと『2ヶ月前に~』ってなってるんだけど?」といわれた場合、次の転職時期的に問題がないのであれば、それに従った方が良いです。

決めるときは、できれば「◯月末日」や、会社の給与計算の締め日に合わせて「◯月◯日」と具体的に決めておきましょう。
上司の立場に立った場合、辞める時期を聞いて、「◯月とか…、それくらいでしょうかね?」とかいわれたら困りますよね?
それくらいちゃんと考えて来いって話ですよ。
その方が上司としても、ネガティブな内容の話とはいえ、話がしやすいです。

第一そんな風にいったら、そのあとどんなにもっともらしい理由を並べても「ウソだな」「大した理由じゃないんだろうな」って思われてしまいます。

切り出し方はどうすればいいか?

退職の意思をまず伝える相手は、直属の上司です。ほんの数名の小さな会社で、ハッキリとした「上司」ってのがいない場合は社長でもいいでしょう。

忙しくなさそうなタイミングを見計らって、「今ちょっとよろしいですか?」や「すみません、ちょっと相談したいことがあるんですが」などと伝え、できれば二人きりになれる部屋か、それがなくても他の社員から離れた位置にうながします。

その際間違っても「大切なお話があるんですが」という風にいってはダメです。
さすがに相手も察して身構えますし、その声掛けを聞いていたまわりの人も気付きます。
いきなり上司に近づいていって、「あのー、会社辞めたいんですけど…」なんてのはもってのほかです。

二人きりの状態になってから、「◯月◯日をもって、会社を辞めようと思います」と伝えましょう。

そうすると「なぜだね?」と理由を聞かれます。

退職理由は正直に?ウソをつく?

これは基本的にはウソがベースです。
正直に「人間関係が悪いから」や「給料が低すぎる、残業代も出ないブラックだし」や「(上司に)あなたの顔を見るだけで憂鬱になるほど嫌いだから」などといったら余計な角が立ちます。
しかも上記の理由は「改善するから考え直してくれ」と相手に言わせる口実になってしまいます。

相手がどうこうできない理由を考えるのです。例えば、
「申し訳ありません。具体的には申しあげられませんが、どうしてもやりたいことがあるのです。◯◯さん(上司の名前)には大変お世話になったのに、勝手なことを申しておるのは重々承知しています。誠に申し訳ございません!」
などでも良いでしょう。

なお、話の中で「次(の就職先)は決まってるのかね?」と聞かれることが多いです。
この場合は決まっていたとしても「これから探します」や「いえ、それはまだです」などとはぐらかしましょう。
ましてや同業他社に決まっている場合は絶対に言ってはいけません。

他の理由としては、家族にお年寄りがいる場合は、介護を理由にするのもいいかもしれません。
しかし介護を理由にする場合は注意が必要です。
「転職ではない」ことを表明する形になってしまうため、「生活は大丈夫なのかね?」と聞かれることになると思いますが、「今までの蓄えでとりあえずは大丈夫です」などと言っておきましょう。
また現在の家族の状態など、根掘り葉掘り聞かれることが予想されますので、適当な話を作っておく必要があります。

さて上司は、引き留める?あっさり?

あなたのそれまでの勤務態度などにもよりますが、とりあえずは引き留める方向で話をしてくる場合が多いです。
上で書いたように、相手にはどうすることもできない理由を伝えたとしても、です。

上司の立場に立ってみてください。
そのまた上司などに報告する際、「で、慰留したの?」と聞かれ「いえ、してないですが…」なんて言えないですよね。
上司としては、とりあえず止めとかなきゃなんです。
※慰留(いりゅう) = 思いとどまらせること

「君にはかなり目をかけてあげたつもんなんだが」と恩に着せてくる?
「君にはかなり期待をしていたんだけどね…」と持ち上げてくる?
「後任が育つまで、少し伸ばせないか?」と延長を打診してくる?
「給料を上げる」「残業を減らす」「昇進させる」など甘い言葉で誘惑してくる?

などと持ち出してくるかもしれない理由は様々ですが、ここであなたが「辞めたい」→「辞める」と意思を固めたときのことを思い出してください。
今後あなたが満足できるほど、状況の改善は期待できるでしょうか?
少しも改善されないことの方が可能性が高いからこそ、あなたは退職を決意したのでは?

ということで、とにかく「意思は固い」ことをやんわりと伝えましょう。
ただもし可能でしたら、期限をハッキリさせた上でならば、延長には柔軟に対応した方がいいと思います。
それと最後の甘い誘惑ですが、ほとんどが口約束で終わるので信用しない方がいいです。

また、なんやかんやの押し問答の末「一旦保留にさせてくれ」といわれる場合もあります。
上の判断を仰ぎたいのでしょう。
ここで最初に「◯月◯日をもって~」と伝えたことが生きてきます。

こちらは既に期限を切っているわけなので、素直に「はい、わかりました。ご面倒お掛けして申し訳ございません。」ということができます。
まあその後向こうから切り出してこなかった場合、もう一度こっちから切り出さなくちゃいけないから面倒なんですけどね。

一番最初に「◯月◯日をもって~」と切り出すのは、相手の立場に立てばきつい言い方かもしれませんが、うやむやにされるのを防ぐ目的もあるのです。
しかしあくまでベースは穏便に。目指しているのは円満退職です。

では逆にあっさり「あ、そう、わかった」で終わった場合は?
「あ、俺っていらない人間だったんだな…」って思って落ち込むかもしれませんが、交渉する手間が省けたと考え、喜びましょうw

そして上司が承諾した時点で初めて「退職願」が登場します。
いきなり退職願を叩きつけるなんてのは昔のドラマだけです。

退職願?退職届?辞表?

まず最初に「辞表」ですが、これはほとんどの人には関係のないものです。
まず辞表の意味は、「役目を辞すること」です。
取締役や重役がその「役目を辞める」際に出すもので、「会社を辞める」際に出すものではありません。

さて、退職願と退職届の違いですが、またしても良く見るネットの意見で、「退職願ではなく、退職届を出せ」というのを良く見ます。
「退職願」はお願いで、「退職届」は届出。つまり一方的な宣言だと思ってる方が多いようですが、事はそんなに単純ではありません。相手だって人間なのです。

余計なこと考えないでおとなしく退職願にしとけって話なんですが、とりあえず一般的なのは「退職願」の方です。

退職願は「承諾」されるもので、退職届は「受理」されるものです。
どちらもあなたの意思表示には変わりありませんが、退職願は提出してから承諾されるまでの間に「意思の撤回」が可能なのに対し、退職届は受理される前でも、提出した時点で意思の撤回はできなくなります。

「意思の撤回なんて絶対しない!一刻も早く辞めたい!」と考える人は関係ないと思うでしょう。
確かにそのとおりかもしれませんけどね。そして、
「退職願は承諾されなかったら辞められないから退職届を出す!」という人もいますが、泥沼になって、「2週間前に~」っていう法律を持ち出す事態になった場合は、提出したものが退職願だろうが退職届だろうが意思表示としては同じ効力を発揮しますので、心配しなくても大丈夫です。

退職願は、交渉が終わったあと形式的に出すもの。
退職届は、交渉上強い意志を表明する必要がある場合の武器くらいに考えておいてください。
話も無くいきなり紙を渡すのは、やっぱり失礼な行為で、もめるきっかけにもなりかねません。

中にはいきなり最初から退職届を出したが為に「非常識だ!」と怒りを買い、泥仕合に発展する例もありますので、そんなムダな危険を冒す必要はないはずです。

退職願の書き方

退職の意思が伝わり、上司もそれを承諾したときに「退職願はどうすればいいですか?」と聞いてみてください。
決まった書式があればそれに従い、特にないようでしたら自分で作り、翌日には提出しましょう。

自分で作るといっても、とても簡単にwordで作れます。
テンプレートを使う必要がないくらい簡単です。
というかこんな雑多ブログにwordファイル置くと怪しいですしね。
ちゅーわけで画像で勘弁してくださいまし。

退職願サンプル

これだけです。これ以外の文言は必要ありません。
これを作って印刷します。
そして「以上」の下にあなたの住所氏名を手書きで書いて名前の右側にハンコを押す。シャチハタはダメです。100円ショップのハンコでもいいのでなければ買いましょう。

これで退職願は準備オッケー!
間違っても文章部分に余計なことは書かないでくださいね。
どんな理由であろうと「一身上の都合」でオッケーです。

あ、一応、白い封筒に入れて、表に「退職願」って書いて出すのが普通みたいですけど、なかったら封筒なしで三つ折りにして、神妙な感じで「◯◯さん(上司の名前)、こちら、お願いします」と渡せば相手もわかります。
私もそうして出したことが何度かありますが、変な反応をされたことはありません。
っていうかここまで来て封筒の有無でもめることはないでしょうし。

晴れて退職決定!

長らく悩み願っていた退職が決定しました!
しかしここで浮かれて「どーせもう辞めるんだしぃー」と残りの期間中、適当に仕事をするようなことはやめましょう。
もう本当にやる気が起きなくても、最後の力を振り絞り、「ちゃんと責任感をもって引き継ぎをして、周りに少しでも迷惑をかけまいと努力している偉いオレ」を演じましょう。
もうゴールはハッキリと見えているのです。終わりが見えていると、人間不思議とがんばれるものです。

「立つ鳥跡を濁さず」の精神でがんばりましょう。

まとめ

やっぱり人間、後ろ足で砂をかけながら逃げるようにして辞めるより、相手にあなたのその後を応援してもらえるくらいで辞めた方が、あなたのその後の動きもかなり変わってくると思います。
応援されないまでも、「まあしょうがないか」と思われるくらいでも全然いいのです。

あなたの人生は、会社を辞めた後も長く続きます。
その人生をより良くするために退職をするのでしょうから、ここはちょっとがんばりどころです。

少し話は変わりますが、再就職先が決まってない状態で、会社を辞めた直後の無敵感ってすごいですよね!
「ぃよっしゃああああーーー!何しよっかなあああーーーー!!」って感じです。
数日後、鬼のように絶望しますけど…。(経験者)


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